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45話 馬車の旅、エリゼを膝枕

Author: みみっく
last update Last Updated: 2025-12-05 06:00:23

「はいっ! もちろんですっ♪ おとーさまっ」

 レイニーは、そう言いながら国王に駆け寄り、抱きついた。それで、甘えておこうっと♪ 国王の服の感触が、幼い体に心地よい。

「うむ。だが、キケンなことはするでないぞ!」

 抱きつかれて、苦しそうな声を上げる国王の声が鳴り響いた。その声には、レイニーへの愛情と、それでも厳しさを教えようとする親心が感じられる。

「はぁーい!」

 レイニーは元気に返事をして、しばらく甘え続けて部屋に戻った。

♢山への道のり

 ……翌日。

 早朝から用意をしておいた馬車に乗り込み、エリゼと馬車で山へ向かった。

 ちゃんとした送迎用の馬車で、王国の紋入りではなく普通の一般的な送迎用の馬車だ。一般人は……馬車には乗らないけどね。

「わぁ! ちゃんとした馬車なんて初めて!」

 エリゼが窓の外を眺めて、嬉しそうに声を上げた。前回乗ったのは兵士を護送するタイプの馬車だったしね。その瞳は、新しい体験に輝いている。

「あはは……たぶん……10分もすれば具合が悪くなると思うよ……。この直に来る振動に揺れがキツイんだよね」

 レイニーは、経験からくる予感を語った。

「えぇ〜楽しいじゃん♪」

 エリゼが、左右の窓に行ったり来たりして楽しそうに過ごしていた。その無邪気な姿に、レイニーは頬を緩めた。

 …………。

 ………………「あ、あぅ……」とエリゼが声を上げた。馬車が道に転がっている石に乗り上げ、たまに大きな振動が直におしりと腰にくる。その衝撃は、馬車全体を揺らし、乗員の体を突き上げた。

 ………………。

「お兄ちゃん……まだ、着かないのぉ〜? 具合が悪くなってきたぁ……」

 エリゼが、具合悪そうに呟いた。その声は、疲労と、わずかな苦痛を含んでいた。

「ほら、横になって良いから休んでなよ」

 レイニーは隣りに座っていたエリゼの肩を掴み、自分の膝に寝かせた。

「ありがと……お兄ちゃん♪」

 エリゼは頬を赤くさせて、恥ずかしそうに横になった。その顔は、少しばかり熱を帯びている。

 レイニーの膝枕で横になったエリゼの頭を撫でて、寝ているエリゼの頬がぷにっとして柔らかそうで、指で触ってみると思った通りぷにぷにして気持ちが良い。これで……暇つぶしができて、さらに癒やされる♪ レイニーの指先からは、エリゼの柔らかな肌の感触が伝わってきた。

「お兄ちゃん……なにしてるの?」

 エリゼは不思議そうにレイニーの顔を見上げて聞いてきた。その瞳は、きょとんとしている。

「エリゼの頬が柔らかくて、良い弾力してるなーって思って〜」

「えへへっ♪」

 エリゼは元気そうに笑っていた。だけど、この移動方は……無いよなぁ……。遅いし、身体的、精神的にキツイ。レイニーは、馬車の移動手段の不便さを改めて感じた。

「エリゼとセリオスさんって、どうしてたの? 馬車じゃないんだよね?」

 レイニーは、二人で歩いて往復をしていたとは考えられず、疑問を口にした。

「ん……とぉ……お父さんがね、馬を借りてくれて……それで移動してたの」

 なるほどね〜馬の方が早くて良いかもなー。でも、馬に乗ったこと無いんだよね。レイニーの頭の中では、新しい移動手段への興味が湧いた。

 馬車で4時間掛かるところを2時間とちょっと掛かり目的地に着いた。御者には、待っててほしかったけど……半日も待ってもらうのは気が引けるし、帰ってもらった。帰りは近くの街で馬車を借りて帰りますかぁ。レイニーは、今後の移動手段について思案した。

♢山での冒険ごっこ

 待ちに待った山に着くと、さっそくって思っていたけど……体が痛い。馬車の外に出て山の麓は緑の草原で二人で寝転がって少し休憩をした。青々とした草の匂いが、疲れた体に染み渡る。

 エリゼが、ニィーと笑い、ゴロゴロと転がってきた。

「お兄ちゃんっ♪ お腹空いた?」

 寝こがりながら、両肘を付きレイニーを見つめて、首を可愛くかしげて聞いてきた。その声は、弾むような期待を含んでいた。

「うん。少し空いたかもー」

 朝早くて朝食を抜いてきていた。レイニーの胃が、きゅるりと鳴った。

「ホント? えへへっ……じゃーん!」

 そう言いながらエリゼがバッグから包を出した。そこには美味しそうな匂がする物が入っていた。その香りは、食欲をそそる。

「おぉ。なにそれ? なに?」

 レイニーは、目を輝かせた。

「えへへっ。あのね、お父さんがお腹が空いたら二人で仲良く食べなさいって〜♪」

 てっきり、エリゼの手作りかと思って期待したんだけど……。というか、あの言い方だったらエリゼの手作りだと思うでしょ。レイニーは、少しばかり残念に思った。

 やるなーセリオスさん。エリゼがナイフで肉の塊を薄く切り、パンに挟んで渡してくれた。そういえば、エリゼは普段は平民が着るようなワンピースを着ているけど……騎士団長の娘で貴族なんだよな。

 普通に肉も、柔らかいパンも食べてるわけだし。扱い方も手慣れてるし。エリゼの手際の良さに、レイニーは感心した。

「今は、これだけね。後は、お昼に食べよーね♪」

「うん。ありがとっ」

 レイニーは、感謝の気持ちを込めて受け取った。

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